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YOURS BOOK STOREブックディレクターがお薦めする「本の本」

2018.8.15

中澤 佑

はじめまして。

ライブラリーなどの選書、運営を担当していますブックディレクターの中澤佑です。

 

私たちYOURS BOOK STOREは「人と本をつないでいく」をコンセプトに本にまつわる様々な企画を立案し運営しています。

前述の有地ブックディレクターの「くる話」#0のとおり、要は「本の何でも屋」です。

 

例えば、本を置くことによってモノや場所の魅力を高めたり、

本を通して集まった人たちとその繋がりをもっと深めるようなイベントを開催したり、

好奇心と学びへの意欲を刺激するライブラリーをプロデュースしたり、

本が集まる象徴的な施設を作って地域に貢献したり

と、本当に多種多様です。

 

そういったいろいろな本との関わりの中でふと、そもそも「本」ってなんだろう?と思うことがあります。

哲学的ともいえるこの問いに対して私なんかが上手く説明することは勿論できませんし、定義としては国際的に細かい基準があるのですが(1964年のユネスコ総会で採択された国際基準「少なくとも49ページ(表紙を除く)以上の印刷された非定期刊行物」のような)、日々、本に触れていると日常生活の中で人々にとって「本」とは一体何だろうと考えてしまいます。

 

もちろん全く答えは出ていませんし、そう簡単には導きだせない命題なのですが、そんな「本」そのものの未来を最大限に想像し、あらゆる可能性を追求することも私たちYOURS BOOK STOREの役目なのだろうと思っています。

 

というわけで、ここでは「本」とは何か?を考える上でとても面白かった本をいくつか紹介したいと思います。

 

いわゆる「本の本」というやつです。

 

最近、多くの書店の文芸書コーナー近くに「本の本」の棚を見かけるようになりました。

「本」の「本」という逆説的な響きが何とも心地よいこのジャンルが増えている背景には電子書籍や個人小出版などによる既存の概念にとらわれない新しいカタチの「本」がたくさん登場していることがあげられると思います。

「本」の概念が揺らぎ、書店、出版業界全体が過渡期を迎えている中、少なくない人たちが「本」とは何か?を改めて振り返り、考え、次のフェーズへと進めていこうとしているのではないかと感じます。

私も一翼を担えるよう頑張らなくては、と気が引き締まる思いです。

 

本の歴史、読書論、書店の話、出版、ブックデザイン、本棚、書評集など「本の本」と一口にいっても随分と色々な切り口で語ることができます。

それこそが「本」というものの魅力の一つであることは間違いありません。

 

今、広がりつつある「本の本」の世界。

心に刺さる1冊がありましたら、ぜひ近くの本屋で手に取ってみてください。

 

 

 

 

世界を変えた本

著者 マイケル・コリンズ神父、他

エクスナレッジ ISBN 9784767823942

「本の歴史についての本は数あれど、この1冊は出色の出来です。古代、口伝で伝えた思考、知識、物語は人の脳のからその記憶装置を外部へと移植しました。それが「本」の始まりとされています。”世界を変えた重要な本”というテーマで紀元前から現代までの誰もが知るマスターピースの数々を美しくも貴重な初版のビジュアルと共に紹介した本書。「死海文書」と「一般相対性理論」と「ピーターラビッドのおはなし」が同列に並べられている様は実にユニークで、私たちの”選書”という仕事の原点を感じます。」

 

 

 

 

読書について

著者 ショウペンハウエル 斎藤忍随訳

岩波書店 ISBN 9784003363225

「”読書とは他人にものを考えてもらうことである。”という名言で知られている本書はまさに「本の本」の古典的名著です。”一日を多読に費やす勤勉な人間は次第に自分でものを考える力を失っていく”と続く著者の痛烈なアフォリズムは裏を返せば、自分の考えも無くただ本を読むだけでは意味がない、ということ。SNSやネットレヴューがあふれる今、本当に自分にとっての良書を読んでいるのだろうか。そして私たちはそれを自信をもって薦めることができているだろうか。考えさせられます。」

 

 

 

 

本を読む本

著者 M.J.アドラー C.V.ドーレン

講談社 ISBN 9784061592995

「”これは「本を読む人」のための本である”という1節から始まる本書は1940年に米国で出版されました。当時のアメリカはテレビやラジオが台頭し始めたマス・メディア時代。意見や情報を知的パッケージ化し自分の頭でものを考えなくすむような仕掛けの隆盛に危惧した著者は、物事を深く知ることができる読書の効用とその方法をわかりやすく説き『読書について』の思考をさらに深化させています。70年以上の時を経て果てしなく高度に情報化された現代においても「本」の役割を見つめなおすために必読の書です。」

 

 

 

 

モンテレッジォ小さな村の旅する本屋の物語

著者 内田洋子

方丈社 ISBN 9784908925290

「本好きのためにあるかのような「本」を介した最良のコミュニケーションで成り立つヴェネツィアの小さな古書店で、その店主のルーツである山奥の小さな村の話を著者は聞きます。そこは石と栗しか特産品のない貧しい山村で、食うに困った人々が生きる糧として選んだのが「本を売り歩く」ということでした。「本」と「本屋」を愛する人々の繋がりが生む数奇な歴史と、奇跡のような物語です。」

 

 

 

 

LIBRARIES

著者  candida höfer

Thames and Hudson Ltd ISBN 9780500543146

「ドイツの現代写真家、カンディダ・へーファーによる世界の美しい図書館を撮影した作品集。クリアな光に満ちた荘厳で幻想的な書架の数々は圧倒的で、誰かが何時か頁をめくる瞬間まで静かに眠りにつく「本」1冊1冊の存在感は人間の知に対して何かを訴えてくるようです。近年、インテリアや写真映えとして美しい本棚が注目されていますが、それは読まれる内容(コンテンツ)があってこそであり、「本」は只の飾りではないのだと改めて思います。」

 

 

 

 

モロッコ革の本

著者 栃折久美子

筑摩書房

「本を物質としてとらえるのなら装幀とは美術品であり、製本工藝とはその最高級品といってもよいでしょう。フランス語でユリユールと呼ばれる製本工藝とは装幀の一種で、羊や仔牛の革を表紙に使い金箔や文様などで豪華に装飾する一点ものの本のことです。本書はそんなユリユールの第一人者である著者がその技術を学ぶため、1972年にベルギー国立学校に留学した際の旅行記。ブリュッセルの昔気質の職人たちとのユーモアとウィットに富んだやり取りは時に可笑しく、著者の「本を造る」側からの「本」に対するあふれる思いは感動的です。」

 

 

 

 

本の音

著者 堀江敏幸

中央公論新社 ISBN 9784122055537

「小説家でありフランス文学者である著者の書評集。小説、作家論、哲学書、写真集、美術書、随筆と様々な本から響いてくる微かな音を聞き漏らすまいと耳を澄ませる著者の筆致は、その作品以上に静かな熱を帯びていて、作品を読むこととはまた違う読書体験を与えてくれます。ある「本」の魅力を誰かに橋渡ししたいと考えたときに、この著者のようにできれば、と常々思う作家の一人です。」

 

 

 

 

 

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