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「箱根本箱」日々と本。0115

2019.1.15

染谷 拓郎

“カムチャッカの若者がきりんの夢を見ているときメキシコの娘は朝もやの中でバスを待っている”

という文章で、谷川俊太郎の「朝のリレー」という詩がはじまる。

新幹線から車窓を眺め、通り過ぎる家々を見るたびに、ああ、ここにも人が住んでるんだとぼんやり思っていたけれど、この詩を読んだ時、それこそ世界中で、だれかの今このとき今日いちにちがあるんだと単純なことに気付いた。

バタバタと箱根に行ってきた今日いちにちと並行して、世界のどこかで起こっていることを想像するのは楽しい。

夜のベルリン市内を2階建てバスが走っている。ノイケルンのバス停近くのパブは閉店間近で人もまばら。誰も見ていないテレビからオアシスの「シャンペン・スーパーノヴァ」のライブ映像が流れ、リアム・ギャラガーが気だるそうに歌っている。

ソウルの朝、若い夫婦が営むカフェの床板がカーテンのない窓から入る光に照らされている。iPod shuffleからイ・ランの「笑え、ユーモアに」が流れる時、今日はじめてのお客さんが来店しコーヒーとトーストを注文した。

サウスブロンクスの終夜営業のグロサリーストア。一人夜勤のアルバイトがチャンス・ザ・ラッパーの「セイム・ドラッグス」を大音量で流しながら、別れた恋人のことをぼんやり考えている。冷蔵庫の色とりどりのゲータレードはしんと静まりかえっている。

静かな午後、箱根本箱のスタッフはチェックインの準備で事前の打ち合わせをしている。外気の寒さが嘘のように館内は暖かい。本棚のなかにあるスピーカーから、小さな音でペンギン・カフェ・オーケストラの「パーペチューム・モバイル」が流れている。

目の前のことを進めることと、想像力を豊かにすることは、実は相反せずむしろそれぞれを補完し合うのかもしれない。箱根本箱の空間は、非日常的だが日常と地続きにある。

そんなことを考えさせてくれた今日の箱根本箱。それをつくりあげた岩佐さんと海法さんのおふたりをお呼びしたトークイベントがいよいよ明後日に控えています!

実は、こんな機会はあまりなくて、きっといい時間になると思います。「箱根本箱のゆくえ」と題して、文禄堂高円寺にて。https://peatix.com/event/584058

このブログが何を言いたかったかというと、ええと、明後日は文禄堂に来てね、という告知でした。(レーモン・クノーの「文体練習」みたい。)

それでは、本年もよろしくお願いします。

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